戦前「即席じるこ」というのがあって、袋入りの粉を茶碗に入れて熱湯を注ぐだけで出来上がった。戦後は33年ごろから、この即席じるこにヒントをえたものか、熱湯をそそぐだけの即席ラーメンが出回り始めた。
インスタントという名をつけだしたのは、アメリカのインスタント・コーヒーにあやかったようで、35年から36年にかけて、インスタント・スープ、インスタント・ミルク、インスタント・カレーと、なんでも「インスタント」をつけるようになり、東京のデパートでは3坪で11万8000円のインスタント・ハウスまで登場した。
35,6年ごろにはインスタント食品のトップはラーメンが占めていたが、その後の3,4年の間にコーヒーが進出してラーメンとトップを争うほどになった。
36年4月には農林省の食糧研究所で「インスタント・フード」研究会を開き、一時の流行に止まらせず永久化させる研究も始まり、インスタント時代を迎えたのである。
* 「明治・大正・昭和 世相史」(社会思想社刊)より転載。
